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2015年8月21日更新 | 一般財団法人 日本税務協会

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(1)

所得税法

(国外扶養親族その他)

の改正

一 国外居住親族に係る扶養控除等の書類の添付等義務化

1  改正前の制度の概要

⑴ 扶養控除

① 居住者が控除対象扶養親族を有する場合に は、その居住者のその年分の総所得金額等か ら、次の扶養親族の区分に応じ、その控除対 象扶養親族 1 人につき次の金額が控除されま す(所法 2 ①三十四~三十四の四、84、措法 41の16)。

イ 一般の扶養親族(年齢16歳以上19歳未満 又は23歳以上70歳未満の扶養親族)……38 万円

ロ 特定扶養親族(年齢19歳以上23歳未満の 扶養親族)……63万円

ハ 老人扶養親族(年齢70歳以上の扶養親族。 ニに該当する者を除きます。)……48万円 ニ 同居老親等の老人扶養親族 ……58万円

(注) 上記の「同居老親等の老人扶養親族」 とは、老人扶養親族のうちその居住者又 はその居住者の配偶者の直系尊属であり、 かつ、その居住者又はその居住者の配偶 者と同居を常況としている者をいいます (措法41の16①)。

② 上記①の扶養親族とは、居住者の親族(配

偶者を除きます。)並びに児童福祉法第27条 第 1 項第 3 号の規定により同法第 6 条の 4 第 1 項に規定する里親に委託された児童及び老 人福祉法第11条第 1 項第 3 号の規定により同 号に規定する養護受託者に委託された老人で、 その居住者と生計を一にするもののうち合計 所得金額が38万円以下である者をいい、控除 対象扶養親族とは扶養親族のうち年齢16歳以 上の者をいうこととされています(所法 2 ① 三十四・三十四の二)。

 なお、上記の扶養親族であっても、青色事 業専従者として専従者給与の支払を受けてい る者又は事業専従者に該当する者は、所得要 件に関係なく、そもそも扶養親族には該当し ないこととされています(所法 2 ①三十四)。  上記の「親族」とは、民法の規定による 6 親等内の血族又は 3 親等内の姻族をいうもの と解されています。また、その居住者と生計 を一にする者であれば、日本国内に居住する ことなどの要件は課されておらず、日本国外 に居住する親族も上記の要件を満たせば扶養 親族に該当することとなります。

(注) 上記の「生計を一にする」とは、必ずし も同一の家屋に起居していることをいうも

目    次

一 国外居住親族に係る扶養控除等の書類 の添付等義務化……… 125 二 家事関連費等の必要経費不算入制度の

改正……… 135 三 資産の譲渡とみなされる行為となる借

地権の設定の判定方法の見直し………… 137

四 貸倒引当金制度の改正……… 141 五 資産に係る控除対象外消費税額等の必

(2)

のではなく、次のような場合には、それぞ れ次によることとされています(所基通 2 -47)。

1  勤務、修学、療養等の都合上他の親族 と日常の起居を共にしていない親族がい る場合であっても、次に掲げる場合に該 当するときは、これらの親族は生計を一 にするものとされています。

⑴ 当該他の親族と日常の起居を共にし ていない親族が、勤務、修学等の余暇 には当該他の親族のもとで起居を共に することを常例としている場合 ⑵ これらの親族間において、常に生活

費、学資金、療養費等の送金が行われ ている場合

2  親族が同一の家屋に起居している場合 には、明らかに互いに独立した生活を営 んでいると認められる場合を除き、これ らの親族は生計を一にするものとされて います。

⑵ 配偶者控除

① 居住者が控除対象配偶者を有する場合には、 その居住者のその年分の総所得金額等から、 次の控除対象配偶者の区分に応じ、次の金額 が控除されます(所法 2 ①三十三・三十三の 二、83)。

イ 一般の控除対象配偶者(年齢70歳未満の 配偶者)……38万円

ロ 老人控除対象配偶者(年齢70歳以上の配 偶者)……48万円

② 上記①の控除対象配偶者とは、居住者の配 偶者でその居住者と生計を一にするもののう ち合計所得金額が38万円以下である者をいう こととされています(所法 2 ①三十三)。  なお、上記①の控除対象配偶者であっても、 青色事業専従者として専従者給与の支払を受 けている者又は事業専従者に該当する者は、 所得要件に関係なく、そもそも控除対象配偶 者には該当しないこととされています(所法

2 ①三十三)。

 上記の「配偶者」とは、民法の規定による 配偶者をいうこととされ、内縁関係にある者 は該当しないものと解されています。また、 その居住者と生計を一にする配偶者であれば、 日本国内に居住することなどの要件は課され ておらず、日本国外に居住する者も上記の要 件を満たせば控除対象配偶者に該当すること となります。

⑶ 配偶者特別控除

① 合計所得金額1,000万円以下の居住者が、 他の居住者の扶養親族とされる者並びに青色 事業専従者として専従者給与の支払を受けて いる者及び事業専従者に該当しない生計を一 にする配偶者で控除対象配偶者に該当しない 者を有する場合には、その居住者のその年分 の総所得金額等から配偶者特別控除の額が控 除されます(所法83の 2 )。

② 上記①の配偶者特別控除の額は、配偶者の 合計所得金額が40万円未満の場合には38万円 とされ、配偶者の合計所得金額が40万円から 増加する金額に応じて原則として 5 万円刻み で逓減することとされ、配偶者の合計所得金 額が76万円以上となる場合には控除対象外と なる消失控除の仕組みとされています(所法 83の 2 ①)。

③ 対象となる配偶者は、上記の配偶者控除 と同様に、民法の規定による配偶者をいうこ ととされ、日本国外に居住する者も上記の要 件を満たせば控除の対象となります。

⑷ 障害者控除

① 居住者が、障害者である控除対象配偶者又 は扶養親族を有する場合には、その居住者の その年分の総所得金額等から、次の障害者の 区分に応じ、その障害者 1 人につき次の金額 が控除されます(所法 2 ①二十八・二十九、 79②③)。

(3)

ロ ハ以外の特別障害者……40万円 ハ 同居特別障害者……75万円

(注) 上記の「同居特別障害者」とは、特別 障害者で、かつ、その居住者又は居住者 の配偶者若しくはその居住者と生計を一 にする親族のいずれかと同居を常況とし ている者をいいます(所法79③)。

② 上記①の「障害者」とは、精神上の障害に より事理を弁識する能力を欠く常況にある者、 失明者その他の精神又は身体に障害がある者 で一定の者をいうこととされ、上記①の「特 別障害者」とは、障害者のうち精神又は身体 に重度の障害がある者で一定の者をいうこと とされています(所法 2 ①二十八・二十九、 所令10①②)。

③ 上記①の控除対象配偶者又は扶養親族につ いては、上記②及び②をご参照ください。

(参考) 上記の居住者が、障害者である控除対象 配偶者又は扶養親族を有する場合のほか、 別途、居住者本人が障害者の場合には27万円、 居住者本人が特別障害者である場合には40 万円が障害者控除として控除されます(所 法79①)。

⑸ 上記⑴から⑷までの扶養控除等の適用を受け るための手続

 次のとおり、申告書への記載等の一定の手続 が必要となりますが、法令上、親族であること を証する書類や生計を一にすることを明らかに する書類の添付等の義務は課されていませんで した。

① 主たる給与等に係る源泉徴収

 給与等の支払をする者は、その給与等の支 払をする際に所得税を徴収して国に納付しな ければならないこととされています(所法 183①)。

 国内において給与等の支払を受ける居住者 は、その給与等の支払者(その支払者が 2 以 上ある場合には、主たる給与等の支払者)か ら毎年最初に給与等の支払を受ける日の前日

までに控除対象扶養親族に関する事項、控除 対象配偶者に関する事項、控除対象配偶者又 は扶養親族のうちに障害者がある場合にはそ の障害者に関する事項その他の事項を記載し た給与所得者の扶養控除等申告書を、その給 与等の支払者を経由してその給与等につき源 泉徴収すべき所得税に係る納税地の所轄税務 署長に提出しなければならないこととされて います(旧所法194①)。

(注) 給与等の支払者がその給与等の支払を受 ける者から受理した上記の「給与所得者の 扶養控除等申告書」は、税務署長が提出を 求めるまでの間、その給与等の支払者が保 存することとされ、この保存期間について は 7 年間とされています(所規76の 3 )。下 記②の配偶者特別控除申告書、下記③の従 たる給与についての扶養控除等申告書及び 下記④の公的年金等の受給者の扶養親族等 申告書についても同様です(所規76の 3 、 77の 3 ③)。

 各月(日)の給与等又は賞与に係る源泉徴 収については、上記の給与所得者の扶養控除 等申告書に記載されたところにより行うこと とされており、その記載された控除対象配偶 者及び控除対象扶養親族の有無及びその数並 びに障害者の数等に応じて所得税法別表第 2 から別表第 4 まで又は事務機械を利用する場 合の源泉徴収税額の特例により、源泉徴収税 額を計算することとなります(旧所法185~ 189、別表第 2 ~別表第 4 、昭和63年12月大 蔵省告示185号)。

(4)

に定める所得税の額及び復興財確法に定め る復興特別所得税の計算を勘案して財務大 臣が定める表(源泉徴収税額表)を適用し て求めることができることとされています (復興財確法29①一)。

 また、この復興特別所得税込みの源泉徴収 税額表は、「東日本大震災からの復興のため の施策を実施するために必要な財源の確保に 関する特別措置法第29条第 1 項第 1 号の規定 に基づき、同号に規定する所得税法別表第 2 から別表第 4 までに定める金額及び復興特別 所得税の額の計算を勘案して財務大臣が定め る表を定める件」により定められています (平成24年 3 月財務省告示115号)。

 なお、事務機械を利用する場合の復興特別 所得税込みの源泉徴収税額の特例について、 月額表の甲欄に掲げる税額については、復興 特別所得税を併せて徴収して納付する場合に も、事務機械を利用する場合の源泉徴収税額 の特例が適用できることとされています(復 興財確法29①二、平成24年 3 月財務省告示 116号)。

② 年末調整

 給与等に対する源泉徴収は、上記①のとお り、各月(日)の給与等や賞与の支払の際に 行われますが、その源泉徴収をした 1 年間の 合計額はその給与所得者の 1 年間の給与総額 について計算した正当の年税額とは一致しな いこととなるため、その年の最後の給与等の 支払の際にその給与所得者の給与所得に対す る正当年税額と給与等の支払の都度源泉徴収 した税額の年間合計額の精算(年末調整)を 行うこととされています。この年末調整の対 象となる者は上記①の給与所得者の扶養控除 等申告書を提出した居住者でその年中に支払 うべきことが確定した給与等の金額が2,000 万円以下である者とされています(旧所法 190)。

 この年末調整の際に適用される扶養控除、 配偶者控除、障害者控除については上記①の

給与所得者の扶養控除等申告書(その申告書 の提出後、その申告書に記載した事項に異動 が生じたことにより異動内容を申告している 場合にはその申告後のもの)に、配偶者特別 控除については年末調整の際に提出される給 与所得者の配偶者特別控除申告書に、それぞ れ記載されたところにより控除額の計算を行 うこととされています(旧所法190)。 ③ 従たる給与に係る源泉徴収

  2 以上の給与等の支払者から給与等の支払 を受ける給与所得者が、扶養控除又は配偶者 控除に相当する控除を主たる給与等の支払者 から受ける給与等からでは控除しきれない場 合には、その従たる給与等から控除を受けよ うとする控除対象扶養親族又は控除対象配偶 者に関する事項を記載した従たる給与につい ての扶養控除等申告書を、その従たる給与等 の支払者を経由してその従たる給与等につき 源泉徴収すべき所得税に係る納税地の所轄税 務署長に提出することができることとされて います(旧所法195①)。

 各月(日)の従たる給与等又は賞与に係る 源泉徴収については、上記の従たる給与につ いての扶養控除等申告書に記載された控除対 象配偶者及び控除対象扶養親族の数に応じて 所得税法別表第 2 から別表第 4 までにより、 源泉徴収税額を計算することとなります(旧 所法185、186、188、別表第 2 ~別表第 4 )。

(注) 従たる給与等についても復興特別所得税 が課され、復興特別所得税込みの源泉徴収 税額表が定められていることは上記①と同 様ですので、上記①(注)をご参照くださ い。なお、従たる給与等については、事務 機械を利用する場合の源泉徴収税額の特例 及び年末調整の制度はありません。

④ 公的年金等に係る源泉徴収

(5)

 国内において公的年金等(一定のものを除 きます。)の支払を受ける居住者は、その公 的年金等の支払者から毎年最初にその公的年 金等の支払を受ける日の前日までに控除対象 扶養親族に関する事項、控除対象配偶者に関 する事項、控除対象配偶者又は扶養親族のう ちに障害者がある場合にはその障害者に関す る事項その他の事項を記載した公的年金等の 受給者の扶養親族等申告書を、その公的年金 等の支払者を経由してその公的年金等につき 源泉徴収すべき所得税に係る納税地の所轄税 務署長に提出しなければならないこととされ ています(旧所法203の 5 ①)。

 公的年金等に係る源泉徴収については、上 記の公的年金等の受給者の扶養親族等申告書 に記載されたところにより行うこととされて おり、その記載された控除対象配偶者及び控 除対象扶養親族の有無及びその数並びに障害 者の数等に応じて求めた控除額を控除して、 源泉徴収税額を計算することとなります(旧 所法203の 3 )。

(注) 確定給付企業年金等の公的年金等の受給 者の扶養親族等申告書を提出することがで きない公的年金等については、源泉徴収段 階において扶養控除、配偶者控除及び障害 者控除に相当する控除の適用を受けること はできません。

⑤ 確定申告

 確定申告により、上記からまでの控除 (以下「扶養控除等」といいます。)の適用を 受ける場合には、確定申告書にその控除に関 する事項等を記載することとされています (旧所法120①、旧所規47)。

2  改正の内容等

⑴ 改正の経緯、趣旨等

① 所得税の所得控除制度における確定申告書 等への書類の添付等の義務

 所得税法においては、医療費控除や生命保 険料控除などの所得控除の適用を受ける場合

には、課税の適正性を担保する観点から、確 定申告書の提出の際等にその支払額の証明書 等の添付等を義務付けることを基本としてい ます。

 その支払額等が控除額の計算の基礎となる 雑損控除、医療費控除、国民年金保険料に係 る社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控 除、生命保険料控除、地震保険料控除及び寄 附金控除並びにその事実確認が困難である専 修学校等の生徒に係る勤労学生控除について は、一定の書類の添付等が義務付けられてい ます。

 一方で、その事実確認や実態把握が容易で あると考えられる扶養控除等を含めた人的控 除関係については、納税者等の事務負担も考 慮し、特に書類の添付等が義務付けられてい ませんでした。

② 会計検査院の意見表示

 会計検査院は平成25年度決算検査報告を作 成し、平成26年11月 7 日にこれを内閣に送付 しましたが、その中で国外に居住する扶養親 族に係る扶養控除の適用について、以下のよ うな指摘が行われています。

 「所得税の所得控除は、納税者の個人的な 事情を考慮して税負担を調整するために設け られたものである。また、国際化の進展に伴 い、外国人労働者の増加や外国人を配偶者と する国際結婚の増加等により、国外扶養親族 を控除対象扶養親族とする納税者が増加して きていると思料されるなど、社会情勢が大き く変化している。

 このような中で、本院は、所得税の確定申 告書等における扶養控除の申告額等が多額な 納税者について、扶養控除は社会情勢の変化 に対応して有効かつ公平に機能しているかな どに着眼して検査したところ、次のような状 況となっていた。

(6)

族及び三親等の姻族並びに扶養成年層を扶 養しているとする者も多数見受けられた。 また、多数の国外扶養親族を扶養控除の対 象としており、国外扶養控除適用額が多額 に上ることにより所得税が課税されていな い者が多数見受けられた。

イ 国外扶養親族については、続柄証明書類 及び送金証明書類が税務署に提出されてい なかったり、提出されていても、国内扶養 親族の場合と異なり申告した年における控 除対象扶養親族の生存の有無及び住所を確 認できなかったり、納税者の友人等の第三 者を通じるなどして現金を手渡したとして いる申立書のみが提出されていて送金の事 実を確認できなかったりなどしていて、控 除対象扶養親族の要件を満たしているかに ついて税務署が十分に確認できない状況と なっていた。そして、国外扶養控除適用額 と比較して、国外扶養親族への送金額が相 当下回っており、担税力が減殺された分を 相当上回る国外扶養控除適用額になってい ると思料される者も多数見受けられた。  以上のとおり、国外扶養者については、国 内扶養者と異なり多数の親族を扶養控除の対 象としているのに適用要件を満たしているか 十分な確認ができていないまま扶養控除が適 用されているなどの状況となっていた。  近年、我が国においては国際化の進展に伴 い、外国人労働者や国際結婚等が増加してお り、これにより国外扶養者が増加するなど、 扶養控除制度創設当時と大きく社会情勢が変 化している。

 ついては、このような社会情勢の変化及び 本院の検査によって明らかになった状況を踏 まえて、今後、財務省において、国外扶養親 族に係る扶養控除制度の在り方について、引 き続き、様々な視点から有効性及び公平性を 高めるよう検討を行っていくことが肝要であ る。」

③ 改正の趣旨

 国際化の進展に伴い、外国人労働者の増加 や外国人を配偶者とする国際結婚の増加等に より、国外に居住している親族を扶養控除等 の対象とする納税者が増加してきているもの と考えられます。

 所得税法において、所得控除の適用を受け る場合には、課税の適正性を担保する観点か ら、確定申告書の提出の際等に書類の添付等 を義務付けることを基本としています。上記 ②の会計検査院の指摘にもあるとおり、国内 に居住している扶養親族等については市町村 等と国税当局との連携により扶養控除等の要 件を満たしているかの確認が税務署において 行える一方で、国外に居住している扶養親族 等については事実確認や実態把握が容易であ るとはいえない状況にあると考えられます。  このような状況を踏まえ、平成27年度税制 改正において、国外に居住している親族に係 る扶養控除等の適用を受ける際には、確定申 告書等に親族であること及び生計を一にする ことを確認できる書類の添付等を義務付ける こととされました。

④ 書類の添付等義務化の対象となる扶養親族  扶養控除及び障害者控除の対象となる扶養 親族とは、上記1 ⑴②のとおり、居住者の親 族(配偶者を除きます。)のほか、里親に委 託された児童及び養護受託者に委託された老 人も含まれていますが、これらの児童や老人 は児童福祉法や老人福祉法といった我が国の 法律に基づき委託された者であり、国外に居 住することは基本的に想定されないほか、市 町村等との連携においてその実態の把握が可 能と考えられることから、今回の書類の添付 等義務化の対象外とされ、添付等義務化の対 象は居住者の親族に限ることとされています。 ⑤ 書類の添付等義務化の対象となる控除

(7)

控除並びに障害者控除についても同様に書類 の添付等を義務付けることとされました。寡 婦(夫)控除については扶養親族の存在が控 除の適用要件とはされているものの、基本的 には居住者本人の態様に応じて控除が適用さ れるものであること、雑損控除、医療費控除 及び社会保険料控除については親族に係る損 失や支払も控除されますが、別途損失の事実 や支払の事実を確認することにより控除の適 正な執行は可能であると考えられることから、 今回の書類の添付等義務化の対象とはされま せんでした。

⑵ 改正の内容

 次のとおり、扶養控除等の適用を受ける各手 続において、書類の添付等を義務付けることと されました。

① 主たる給与等に係る源泉徴収

 国内において給与等の支払を受ける居住者 がその主たる給与等の支払者に提出すること とされている給与所得者の扶養控除等申告書 に、源泉徴収段階において控除を受けようと する扶養控除の対象となる親族、配偶者控除 の対象となる配偶者又は障害者控除の対象と なる障害者が非居住者である場合にはその旨 を記載しなければならないこととされ、その 記載をした居住者はその記載がされた者(以 下②までにおいて「国外居住親族」といいま す。)がその居住者の親族に該当する旨を証 する書類を各人別にその申告書に添付し、又 はその申告書の提出の際に提示しなければな らないこととされました。なお、年の中途に おいて控除を受けようとする扶養控除の対象 となる親族、配偶者控除の対象となる配偶者 又は障害者控除の対象となる障害者を追加す る場合の給与所得者の扶養控除等異動申告書 を提出する場合も同様です(所法194①②④、 所令316の 2 ②、所規47の 2 ④、73の 2 ②)。  上記の「親族に該当する旨を証する書類」 は、次のいずれかの書類でその控除を受けよ

うとする国外居住親族が居住者の親族である 旨を証するもの(その書類が外国語で作成さ れている場合には、その翻訳文を含みます。) とされています(所規47の 2 ④、73の 2 ②)。 以下この「親族に該当する旨を証する書類」 を「親族関係書類」といいます。

イ 戸籍の附票の写しその他の国又は地方公 共団体が発行した書類及び旅券の写し(主 にその国外居住親族が海外留学中の者など 日本国籍を有する者である場合は、こちら の書類の添付等をすることになるものと考 えられます。)

ロ 外国政府又は外国の地方公共団体が発行 した書類(国外居住親族の氏名、生年月日 及び住所又は居所の記載があるものに限り ます。)(主にその国外居住親族が日本国籍 を有しない者である場合で、出生証明書等 が考えられます。)

 なお、各月(日)の給与等又は賞与に係る 源泉徴収税額の計算において国外居住親族に 係る扶養控除、配偶者控除、障害者控除とし て適用される控除は、その国外居住親族につ いて親族関係書類の添付等がされた者に係る 控除に限ることとされました(所法185~187、 別表第 2 ~別表第 4 、昭和63年12月大蔵省告 示185号、平成24年 3 月財務省告示115号、平 成24年 3 月財務省告示116号)。

② 年末調整

(8)

いこととされ、国外居住親族がその居住者と 生計を一にすることを明らかにする書類を各 人別にその申告書に添付し、又はその申告書 の提出の際に提示しなければならないことと されました(所法194⑤⑥、所令316の 2 ③、 所規73の 2 ②)。

 また、年末調整における税額の過不足の額 の計算上、非居住者である配偶者に係る配偶 者特別控除の適用を受けようとする場合には、 その年最後に給与等の支払を受ける日の前日 までに、その配偶者に係る親族関係書類及び その配偶者がその居住者と生計を一にするこ とを明らかにする書類を、その配偶者が非居 住者である旨を記載した給与所得者の配偶者 特別控除申告書に添付し、又はその申告書の 提出の際に提示しなければならないこととさ れました(所法195の 2 ①②、所令318の 3 、 所規47の 2 ④⑤、74の 4 )。ただし、上記① によりその配偶者について既に添付又は提示 をした親族関係書類については、給与所得者 の配偶者特別控除申告書への添付又は提示を 要しないこととされています(所令318の 3 ただし書)。

 上記の「生計を一にすることを明らかにす る書類」は、次に掲げる書類であって、その 居住者がその年においてその国外居住親族又 は配偶者特別控除に係る非居住者である配偶 者(以下②において「国外居住親族等」とい います。)の生活費又は教育費に充てるため の支払を必要の都度、各人に行ったことを明 らかにするもの(その書類が外国語で作成さ れている場合には、その翻訳文を含みます。) とされています(所規47の 2 ⑤、74の 4 )。 以下この「生計を一にすることを明らかにす る書類」を「送金等関係書類」といいます。 イ 金融機関の書類又はその写しで、その金 融機関が行う為替取引によって居住者から 国外居住親族等に支払をしたことを明らか にするもの(送金依頼書等が考えられま す。)

(注) 上記の「金融機関」とは、内国税の適 正な課税の確保を図るための国外送金等 に係る調書の提出等に関する法律第 2 条 第 3 号に規定する金融機関をいいます (所規47の 2 ⑤一)。具体的には銀行など

です。

ロ クレジットカード等購入あっせん業者の 書類又はその写しで、クレジットカード等 を国外居住親族等が提示し又は通知して、 特定の販売業者から商品若しくは権利を購 入し、又は特定の役務提供事業者から有償 で役務の提供を受けたことにより支払うこ ととなるその商品若しくは権利の代金又は その役務の対価に相当する額の金銭を居住 者から受領し、又は受領することとなるこ とを明らかにするもの(クレジットカード の利用明細書等が考えられます。)

(9)

ゆるクレジットカード発行会社などで す。

(注 2 ) 上記の「クレジットカード等」とは、 それを提示し又は通知して、特定の販 売業者から商品若しくは権利を購入し、 又は特定の役務提供事業者から有償で 役務の提供を受けることができるカー ドその他の物又は番号、記号その他の 符号をいいます(所規47の 2 ⑤二)。具 体的にはいわゆるクレジットカードな どです。

 なお、年末調整の際に課税総所得金額を算 出する場合において国外居住親族等に係る扶 養控除等として適用される控除は、その国外 居住親族等について親族関係書類及び送金等 関係書類の添付等がされた者に係る控除に限 ることとされました(所法190)。

③ 従たる給与に係る源泉徴収

  2 以上の給与等の支払者から給与等の支払 を受ける給与所得者が、扶養控除又は配偶者 控除に相当する控除を主たる給与等の支払者 から受ける給与等からでは控除しきれない場 合において、その従たる給与等から控除を受 けようとする扶養控除の対象となる親族又は 配偶者控除の対象となる配偶者が非居住者で あるときは、その旨を従たる給与についての 扶養控除等申告書に記載しなければならない こととされ、その記載をした居住者はその記 載がされた控除対象扶養親族又は控除対象配 偶者(以下③において「国外居住親族」とい います。)に係る親族関係書類を各人別にそ の申告書に添付し、又はその申告書の提出の 際に提示しなければならないこととされまし た。なお、年の中途において従たる給与等か ら控除を受けようとする扶養控除の対象とな る親族又は配偶者控除の対象となる配偶者を 追加する場合の給与所得者の扶養控除等異動 申告書を提出する場合も同様です(所法195 ①②④、所令318の 2 、所規47の 2 ④、74の

2 )。

 なお、各月(日)の給与等又は賞与に係る 源泉徴収税額の計算において国外居住親族に 係る扶養控除又は配偶者控除として適用され る控除は、その国外居住親族について親族関 係書類の添付等がされた者に係る控除に限る こととされました(所法185、186、別表第 2 ~別表第 4 、平成24年 3 月財務省告示115号)。 ④ 公的年金等に係る源泉徴収

 国内において公的年金等の支払を受ける居 住者がその公的年金等の支払者に提出するこ ととされている公的年金等の受給者の扶養親 族等申告書に、源泉徴収段階において控除を 受けようとする扶養控除の対象となる親族、 配偶者控除の対象となる配偶者又は障害者控 除の対象となる障害者が非居住者である場合 にはその旨を記載しなければならないことと され、その記載をした居住者はその記載がさ れた者(以下④において「国外居住親族」と いいます。)に係る親族関係書類を各人別に その申告書に添付し、又はその申告書の提出 の際に提示しなければならないこととされま した。なお、公的年金等の支払者が国税庁長 官の承認を受けている場合の簡略化した公的 年金等の受給者の扶養親族等申告書を提出す る場合も同様です(所法203の 5 ①~③、所 令319の11、所規47の 2 ④、77の 4 )。  なお、公的年金等に係る源泉徴収税額の計 算において国外居住親族に係る扶養控除、配 偶者控除、障害者控除として適用される控除 は、その国外居住親族について親族関係書類 の添付等がされた者に係る控除に限ることと されました(所法203の 3 )。

⑤ 確定申告

(10)

申告書の提出の際に提示しなければならない こととされました(所法120③、所令262②、 所規47の 2 ④⑤)。

(注 1 ) 上記の「扶養控除等に係る親族の判定 の時」とは、その年12月31日(居住者が その年の中途において死亡し又は出国を する場合には、その死亡又は出国の時と され、国外居住親族が既に死亡している 場合は、その死亡の時)とされています (所法85)。

(注 2 ) 上記の「確定申告書」には、還付を受 けるための申告書(所法122)、確定損失 申告書(所法123)、年の中途で死亡した 場合の確定申告書(所法125)、年の中途 で出国をする場合の確定申告書(所法 127)を含みます(以下同じです。)ので、 これらの申告書についても国外居住親族 に係る各人別の親族関係書類及び送金等 関係書類をこれらの申告書に添付し、又 はこれらの申告書の提出の際に提示しな ければならないこととされています(所 法122③、123③、125④、127④)。

 ただし、上記①から④までにより既に添付 又は提示をした親族関係書類又は送金等関係 書類については、確定申告書への添付又は提 示を要しないこととされています(所令262 ②ただし書)。

3  適用関係

⑴ 上記2 ⑵①から③までの改正は、平成28年 1 月 1 日以後に支払うべき給与等について適用さ れます(改正法附則12①、平成27年 3 月財務省 告示99号前文、平成27年 3 月財務省告示115号 前文)。なお、同日以後に支払を受けるべき給 与等について提出する給与所得者の扶養控除等 申告書及び従たる給与についての扶養控除等申 告書については改正後の制度が適用される(改 正法附則12②)ことから、同日前に提出するこ れらの申告書であっても同日以後に支払を受け るべき給与等に係る申告書については上記2 ⑵

①から③までの改正による書類の添付等が義務 付けられることとなります。

⑵ 上記2 ⑵④の改正は、平成28年 1 月 1 日以後 に支払うべき公的年金等について適用されます (改正法附則13①)。なお、同日以後に支払を受 けるべき公的年金等について提出する公的年金 等の受給者の扶養親族等申告書については改正 後の制度が適用される(改正法附則13②)こと から、同日前に提出するその申告書であっても 同日以後に支払を受けるべき公的年金等に係る 申告書については上記2 ⑵④の改正による書類 の添付等が義務付けられることとなります。 ⑶ 上記2 ⑵⑤の改正は、平成28年分以後の所得

税に係る確定申告書を提出する場合について適 用されます(改正法附則10)。

(参考) 平成26年度税制改正における給与所得控 除の上限額の引下げの平成28年 1 月 1 日施 行分(給与等の収入金額1,200万円で給与所 得控除額を230万円に引下げ)の施行にあわ せて、次の告示について改正が行われ、平 成28年 1 月 1 日以後に支払うべき給与等に ついて適用することとされています(平成 27年 3 月財務省告示99号、平成27年 3 月財 務省告示114号、平成27年 3 月財務省告示 115号)。

1  所得税法の事務機械を利用する場合の 源泉徴収税額の特例(所法189①)におけ る税額計算の基礎を定めた「所得税法第 189条第 1 項の規定に基づき、同項に規定 する所得税法別表第 2 の甲欄に掲げる税 額が算定された方法に準ずるものとして 財務大臣が定める方法を定める件(昭和 63年12月大蔵省告示185号)」

(11)

別表第 2 から別表第 4 までに定める金額 及び復興特別所得税の額の計算を勘案し て財務大臣が定める表を定める件(平成 24年 3 月財務省告示115号)」

3  復興財確法の事務機械を利用する場合 の源泉徴収税額の特例(復興財確法29① 二)における税額計算の基礎を定めた「東 日本大震災からの復興のための施策を実

施するために必要な財源の確保に関する 特別措置法第29条第 1 項第 2 号の規定に 基づき、同号に規定する所得税法第189条 第 1 項に規定する財務大臣が定める方法 及び復興特別所得税の額の計算を勘案し て財務大臣が定める方法を定める件(平 成24年 3 月財務省告示116号)」

二 家事関連費等の必要経費不算入制度の改正

1  改正前の制度の概要

⑴ 居住者が支出し、又は納付する次に掲げるも のの額については、その者の不動産所得の金額、 事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の 金額の計算上必要経費に算入しないこととされ ています(旧所法45①)。

① 家事上の経費及びこれに関連する経費で一 定のもの

② 所得税(不動産所得、事業所得又は山林所 得を生ずべき事業を行う居住者が納付する確 定申告税額の延納に係る利子税又は延払条件 付譲渡に係る所得税額の延納に係る利子税で、 その事業についてのこれらの所得に係る所得 税の額に対応する一定のものを除きます。)

(注) 上記の所得税の額に対応する一定の利子 税は、次の利子税の区分に応じ次に定める 金額に相当する利子税とされています(旧 所令97①)。

イ 不動産所得、事業所得又は山林所得を 生ずべき事業を行う居住者が納付した確 定申告税額の延納に係る利子税 その利 子税の額に、その利子税の基礎となった 所得税に係る年分の各種所得の金額(給 与所得の金額及び退職所得の金額を除き ます。)の合計額のうちに当該年分の当該 事業から生じた不動産所得の金額、事業 所得の金額及び山林所得の金額の合計額 の占める割合を乗じて計算した金額

ロ 山林所得を生ずべき事業を行う居住者 が納付した延払条件付譲渡に係る所得税 額の延納に係る利子税で当該事業から生 じた山林所得に係るもの その利子税の 額

③ 所得税以外の国税に係る延滞税、過少申告 加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重 加算税、印紙税法の過怠税

④ 地方税法の規定による道府県民税及び市町 村民税(都民税及び特別区民税を含みます。) ⑤ 地方税法の規定による延滞金、過少申告加

算金、不申告加算金及び重加算金 ⑥ 罰金及び科料並びに過料

⑦ 損害賠償金(これに類するものを含みま す。)で一定のもの

⑧ 次に掲げる法律の規定による課徴金及び延 滞金等

イ 国民生活安定緊急措置法

ロ 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関 する法律

ハ 金融商品取引法 ニ 公認会計士法

(12)

額の計算上必要経費に算入しないこととされて います(所法45②)。

2  改正の内容

⑴ 国外転出をする場合の譲渡所得等の特例等の 創設に伴い、国外転出をする場合の譲渡所得等 の特例の適用がある場合の納税猶予に係る利子 税及び贈与等により非居住者に資産が移転した 場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納 税猶予に係る利子税で次に定める金額に相当す るものが上記1⑴②のその者の事業所得の金額 の計算上必要経費に算入しないこととされてい る所得税から除外することとされました(所法 45①二、所令97①三・四)。

(注 1 ) 利子税は、その額の計算の基礎となる税 額の属する税目の国税とされています(通 法60④、64③)。

(注 2 ) 「国外転出をする場合の譲渡所得等の特 例」、「贈与等により非居住者に資産が移転 した場合の譲渡所得等の特例」、「国外転出 をする場合の譲渡所得等の特例がある場合 の納税猶予」及び「贈与等により非居住者 に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例 の適用がある場合の納税猶予」については、 前掲の「所得税法等(国外転出時の特例の 創設)の改正」をご参照ください。

① 事業所得を生ずべき事業を行う居住者が納 付した国外転出をする場合の譲渡所得等の特 例の適用がある場合の納税猶予に係る利子税  その利子税の額に、その利子税の基礎とな った国外転出の日の属する年分の当該国外転 出をした居住者の所得税に係るイに掲げる金 額のうちにロに掲げる金額の占める割合を乗 じて計算した金額

イ 国外転出をする場合の譲渡所得等の特例 により行われたものとみなされた有価証券 等の譲渡による事業所得の金額、譲渡所得 の金額及び雑所得の金額、未決済信用取引 等の決済による事業所得の金額及び雑所得 の金額並びに未決済デリバティブ取引の決

済による事業所得の金額及び雑所得の金額 の合計額

ロ 国外転出をする場合の譲渡所得等の特例 により行われたものとみなされた有価証券 等の譲渡による事業所得の金額、未決済信 用取引等の決済による事業所得の金額及び 未決済デリバティブ取引の決済による事業 所得の金額の合計額

② 事業所得を生ずべき事業を行う居住者が納 付した贈与等により非居住者に資産が移転し た場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合 の納税猶予に係る利子税 その利子税の額に、 その利子税の基礎となった贈与等の日の属す る年分の適用贈与者又は適用被相続人等の所 得税に係るイに掲げる金額のうちにロに掲げ る金額の占める割合を乗じて計算した金額 イ 贈与等により非居住者に資産が移転した

場合の譲渡所得等の特例により行われたも のとみなされた有価証券等の譲渡による事 業所得の金額、譲渡所得の金額及び雑所得 の金額、未決済信用取引等の決済による事 業所得の金額及び雑所得の金額並びに未決 済デリバティブ取引の決済による事業所得 の金額及び雑所得の金額の合計額

ロ 贈与等により非居住者に資産が移転した 場合の譲渡所得等の特例により行われたも のとみなされた有価証券等の譲渡による事 業所得の金額、未決済信用取引等の決済に よる事業所得の金額及び未決済デリバティ ブ取引の決済による事業所得の金額の合計 額

(注 3 ) 上記の事業所得の金額、譲渡所得の金額 及び雑所得の金額とは、いわゆる黒字の金 額をいうものとされています。

(注 4 ) 上記の利子税に係る復興特別所得税につ いても同様の取扱いとする規定の整備が行 われています(復興財確法33①、復興所令 13①)。

(13)

された不当景品類及び不当表示防止法の規定に より課される課徴金及び延滞金が上記1⑴⑧に 追加され、必要経費に算入しないこととされま した(所法45①十二)。

3  適用関係

⑴ 上記2⑴の改正は、平成27年 7 月 1 日から施

行されます(改正法附則 1 二)。

⑵ 上記2⑵の改正は、不当景品類及び不当表示 防止法の一部を改正する法律(平成26年法律第 118号)の施行の日(同法の公布の日(平成26 年11月27日)から 1 年 6 月以内の政令で定める 日)以後に行われた行為に係る課徴金及び延滞 金について適用されます(改正法附則 6 )。

三 資産の譲渡とみなされる行為となる借地権の設定の

判定方法の見直し

1  改正前の制度の概要

⑴ 譲渡所得は、基本的には、資産の現実の譲渡 による所得とされており、地上権又は賃借権 (以下「借地権」といいます。)の設定の対価及 び地役権の設定の対価の支払を受けることによ る所得は、資産そのものの譲渡ではないため、 基本的には不動産所得として課税されています。 ただし、建物又は構築物の所有を目的とする借 地権の設定の対価及び一定の地役権の設定の対 価でも、その対価の額が、その土地の価額の 2 分の 1 相当額を超えるときは、その設定を資産 の譲渡とみなし、その設定の対価を譲渡所得と して課税することとされています。また、その 設定が地下又は空間について上下の範囲を定め た借地権又は地役権の設定である場合には、そ の設定の対価がその土地の価額の 4 分の 1 相当 額を超えるときは、その設定を資産の譲渡とみ なし、その設定の対価を譲渡所得として課税す ることとされています(所法33、所令79①一)。

(注) 建物又は構築物の一部の所有を目的とする 借地権の設定である場合には、上記の土地の 価額に、その建物又は構築物の総床面積のう ちにその借地権の設定に係る建物又は構築物 の一部の床面積の占める割合を乗じて計算す ることとされています(所令79①二)。

⑵ これは、借地権を設定して他人が建物等を建 造してその土地を使用する場合や地役権の設定 により構造物の設置が制限される場合には、土

地の価額が従来の価額に比べ低下することにな りますので、その低下の割合が相当高い場合、 すなわち土地の価額の一定割合以上の権利金や 対価の授受があった場合には、その権利金や対 価は土地の使用料(不動産所得)としてではな く、部分的な土地の譲渡があったものとして譲 渡所得として課税することとされているもので す。

2  改正の内容

⑴ 資産の譲渡とみなされる行為となる借地権の 設定の判定方法の経緯等

① 昭和34年改正

 借地権の設定に際し収受される権利金には、 地代の一部の前払い的な性格と土地の所有権 の一部の譲渡対価的な性格とが含まれている と考えられていますが、

イ 慣習上、借地権の設定に際して多額の権 利金の収受が行われており、その権利金の 性質は単に地代の前払いというにとどまら ず土地の独占的利用権ないし場所的利益と しての譲渡対価としての意味を持ち、地主 は借地権が設定されると底地を利用させる ことの対価としての僅かな地代収受権しか 持たないことになること

(14)

などの理由から、昭和34年の所得税法施行令 の改正により、借地権の対価として支払を受 ける金額が土地の価額の 2 分の 1 を超える場 合には、譲渡所得として課税することとされ ました。

② 昭和42年改正

 地主が地下鉄の敷設のために借地権の設定 を認める場合には、地下についてはその設定 以後その利用が制限されていますが、地上に ついては、建物の高さや重量の制限をある程 度受けるとはいえ、その土地を自ら使用収益 したり、第三者に使用させてその対価を収受 する機会は残されているため、一般の借地権 の設定に比して収受する対価が少なくなりま す。この場合に、その対価が土地の価額の 2 分の 1 以下であるという理由で譲渡所得とし て取り扱わないとすれば、一般の借地権の場 合に比して不均衡が生ずることから、昭和42 年の所得税法施行令の改正において、地下又 は空間について上下の範囲を定めた借地権が 設定された場合は、借地権の設定の対価とし て支払を受ける金額が土地の価額の 4 分の 1 を超える場合には譲渡所得として課税するこ ととされました。

(注) 昭和42年当時は、地下について上下の範 囲を定めた借地権を設定する場合は、基本 的に地下空間の比較的浅い部分にトンネル 等を敷設する場合に限られており、当該借 地権を設定した場合には、地下の利用が100 %制限されるという前提の下、 4 分の 1 と されたものと考えられます。

③ 区分地上権等の現状

イ 従来は、地下に上下の範囲を定めた借地 権(以下「区分地上権等」といいます。) を設定する場合には、地下空間の比較的浅 い部分にトンネル等を敷設する場合がほと んどでしたが、近年は、シールド工法等の トンネル掘削技術が発達し、地下のかなり 深い部分での施設の設置が可能となってき ています。

ロ 特に、平成13年に大深度地下の公共的使 用に関する特別措置法(以下「大深度地下 法」といいます。)が施行されたことを受 け、大深度地下法第16条に基づく使用の認 可を受けた事業により、従来はほとんど実 例のなかった大深度地下においての公共事 業の施行の頻度が今後高まることが想定さ れます。このような公共事業においては、 地上部からその大深度地下に到達するまで の区間内において、区分地上権等が設定さ れることになります。

(注 1 ) 上記の「大深度地下」とは、その土 地の地下40m又は通常の建築物の基礎 ぐいを支持することができる一定の許 容支持力を有する地盤の上面から10m を加えた深さのいずれか深い方以上の 地下をいうこととされています(大深 度地下法 2 )。以下同じです。

 なお、大深度地下法において大深度 地下については、補償金の支払なくそ の部分の使用ができることとされてお り、土地所有者による通常の利用が及 ばない範囲と整理されています。 (注 2 ) 公共事業で地下にトンネルを建設す

(15)

の 4 分の 1 以下となるため不動産所得 とされ、地下の深さに応じて所得区分 が異なることとなります。

⑵ 今回の資産の譲渡とみなされる行為となる区 分地上権等の設定の判定方法の見直しの理由等

 上記③の区分地上権等の現状が、上記② の昭和42年改正当時の前提とは異なり、地下の かなり深い部分における区分地上権等の設定も 可能となってきていることを踏まえ、下記の理 由から、大深度地下法に基づく使用の認可を受 けた事業(以下「認可事業」といいます。)と 一体的に行われる公共事業に係る区分地上権等 の設定については、その区分地上権等の設定に より土地の使用収益が制限される範囲を勘案し て譲渡所得となるかどうかを判定することとさ れました。

① 大深度地下法による事業は公共的使用に限 られた公共事業であり、基本的には道路等が 存在する限り、半永久的に公共的に使用がな されることから、その区分地上権等が設定さ れた部分については実質的に譲渡があったも のと考えることが合理的であること。 ② その区分地上権等の設定がされなかった地

下部分(その区分地上権等が設定された部分 より浅い部分)は未だ自ら使用収益したり、 区分地上権等の設定の対価を収受したりする 機会が残されていることから、地下の範囲を 定めない地下全体の区分地上権等の設定と比 べて収受する権利金の額が少なくなること (土地の価額の 2 分の 1 で判定していること の趣旨からいえば、 2 つ以上の区分地上権等 が設定された場合には、その対価の合計額で 判定するのが合理的であること)。

③ 上記1⑴(注)のとおり、区分所有建物の場 合には借地権設定部分に対応する床面積部分 で判定しており、大深度地下のように地下の 使用可能な部分を区分できるのであれば、区 分した部分をもって判定する方が合理的であ ると考えられること。

⑶ 今回の資産の譲渡とみなされる行為となる区 分地上権等の設定の判定方法の見直しの内容

① 改正の概要

 認可事業と一体的に施行される事業として その認可を受けた事業に係る事業計画書に記 載されたものにより設置される施設又は工作 物のうち一定のものに該当する施設又は工作 物の全部の所有を目的とする区分地上権等の 設定がされた場合において、その設定の対価 として支払を受ける金額が、その土地の価額 の 2 分の 1 に相当する金額にその土地におけ る地表から大深度までの距離のうちに区分地 上権等の設定される範囲のうち最も浅い部分 の深さから当該大深度までの距離の占める割 合を乗じて計算した金額の10 分の 5 に相当 する金額を超えるときは、その設定は資産の 譲渡とみなされる行為に該当するものとし、 その設定の対価は譲渡所得として課税するこ ととされました(所令79①三)。

(注 1 ) 上記の「大深度」とは、大深度地下法 におけるその土地の地下40m又は通常の 建築物の基礎ぐいを支持することができ る一定の許容支持力を有する地盤の上面 から10mを加えた深さのいずれか深い方 の深さをいうこととされています(所令 79①三)。以下同じです。

(注 2 ) 譲渡所得の金額の計算に当たっては、 借地権又は地役権が設定された土地の取 得価額に一定割合を乗じた金額が取得費 として控除されることになります(所令 174)。

② 対象となる事業

 対象となる事業は、認可事業と一体的に施 行されるものとして認可事業の事業計画書に 記載された事業とされています。

(16)

えられます。

(注) 今回の見直しは、認可事業と一体的に施 行される一定の事業が対象とされています。 認可事業は大深度地下について認可される ものであり、認可事業による大深度地下の 使用については補償金の対象とされていな いため、今回の見直しとは関係がありません。

③ 対象となる施設又は工作物

 上記②の事業により設置される施設又は工 作物のうち、認可事業の事業計画書に係る事 業計画の概要に記載された施設又は工作物と されています(所規19の 2 ③)。

 認可事業の代表的なものとしては、道路、 河川、鉄道、電気通信、電気、水道、下水道 等の公共性の高い事業があり、認可事業と一 体的に行われる事業により設置される施設又 は工作物は、トンネル、地上からそのトンネ ルまでのスロープ、上下水道、送電線、高圧 ガス導管などが想定されます。

④ 対象となる区分地上権等の設定

 上記③の施設又は工作物の全部の所有を目 的とする区分地上権等とされています。 ⑤ 判定方法の具体的な計算式

イ 区分地上権等の設定の対価として支払を 受ける金額が、その土地の価額の 2 分の 1 に相当する金額にその土地における地表か ら大深度までの距離のうちに区分地上権等 の設定される範囲のうち最も浅い部分の深 さから当該大深度までの距離の占める割合 を乗じて計算した金額の10 分の 5 に相当 する金額を超えるかどうかにより、その設 定が資産の譲渡とみなされる行為に該当す るかどうかを判定することとされました。

(注 1 ) 区分地上権等の設定の対価の支払を 受ける者が借地権者である場合には、 上記の「土地の価額」は借地権の価額 として判定されます。

(注 2 ) 上記の「区分地上権等の設定される 範囲のうち最も浅い部分の深さから当 該大深度までの距離」は、区分地上権

等を設定する際に、その区分地上権等 の設定しようとしている範囲より深い 地下であってその大深度よりも浅い地 下において既に上下の範囲を定めた他 の区分地上権等が設定されている場合 には、その設定しようとする区分地上 権等の範囲のうち最も浅い部分の深さ からその他の区分地上権等の範囲のう ち最も浅い部分の深さまでの距離とさ れます。これは、設定しようとする区 分地上権等の効力の及ぶ範囲はその他 の区分地上権等の範囲のうち最も浅い 部分の深さまでの距離に限られるため です。

(注 3 ) 公共事業で区分地上権等を設定する 場合の補償額は、その設定する地下に ついての最も浅い部分の深さから大深 度までに対する補償として算定されて います。

ロ なお、具体的な計算式は、次のとおりで あり、区分地上権等の設定の対価の金額が 次の算式により算出された金額を超える場 合には、その区分地上権等の設定を資産の 譲渡とみなし、その設定の対価は譲渡所得 として課税されることとなります。 《算式》

その土 地の価 額 ×

1 2 ×

区分地上権等の設定さ れる最も浅い部分の深 さからその土地に係る 大深度(注)までの距離

× 5 10 地表からその土地に係 る大深度までの距離

(注) 当該区分地上権等の設定範囲より深い 地下であって当該大深度よりも浅い地下 において既に他の区分地上権等が設定さ れている場合には、当該他の区分地上権 等の範囲のうち最も浅い部分の深さ

⑥ 租税特別措置の特例の適用等

(17)

円特別控除や長期譲渡所得の課税の特例など の租税特別措置法による土地の譲渡益に関す る課税の特例制度の要件を満たす場合には、 これらの特例制度の適用対象となります。

3  適用関係

 上記2の改正は、平成27年 4 月 1 日以後に行う 区分地上権等の設定について適用されます(改正 所令附則 6 )。

四 貸倒引当金制度の改正

1  改正前の制度の概要

⑴ 不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべ き事業を営む居住者が、その事業の遂行上生じ た売掛金、貸付金、前渡金その他これらに準ず る金銭債権(以下「個別評価貸金等」といいま す。)の貸倒れその他これに類する事由による 損失の見込額として、各年(事業の全部を譲渡 し、又は廃止した日の属する年を除きます。以 下同じです。)において貸倒引当金勘定に繰り 入れた金額については、その金額のうち、その 年12月31日(その者が年の中途において死亡し た場合には、その死亡の時)においてその一部 につき損失が見込まれる個別評価貸金等の損失 の見込額の合計額として一定の金額に達するま での金額は、その者のその年分の不動産所得、 事業所得又は山林所得の金額の計算上、必要経 費に算入することができます(所法52①、所令 144)。

⑵ 青色申告書を提出する居住者で事業所得を生 ずべき事業を営む者が、その事業の遂行上生じ た売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債 権(個別評価貸金等を除きます。以下「一括評 価貸金」といいます。)の貸倒れによる損失の 見込額として、各年において貸倒引当金勘定に 繰り入れた金額については、その金額のうち、 その年12月31日における一括評価貸金の額を基 礎として一定の計算をした金額(以下「繰入限 度額」といいます。)に達するまでの金額は、 その者のその年分の事業所得の金額の計算上、 必要経費に算入することができます(所法52②)。  上記の繰入限度額は、その居住者のその年12

月31日(その者が年の中途において死亡した場 合には、その死亡の時)における一括評価貸金 の帳簿価額(一括評価貸金のうちその全部又は 一部が実質的に債権とみられないものにあって は、その債権とみられない部分の金額に相当す る金額(以下「実質的に債権とみられない金 額」といいます。)を控除した残額)の合計額 に、その者の営む事業のうち主たるものが金融 業の場合には3.3%、それ以外の事業の場合に は5.5%を乗じて計算した金額とされています (旧所令145①)。

 この実質的に債権とみられない金額は、平成 10年 1 月 1 日以後引き続き事業所得を生ずべき 事業を営んでいる者にあっては、その年12月31 日における一括評価貸金の額に、平成10年及び 平成11年(以下「基準年」といいます。)の各 年の12月31日における一括評価貸金の額の合計 額のうちにその各年の12月31日における実質的 に債権とみられない金額の合計額の占める割合 を乗じて計算した金額とするいわゆる簡便法が 認められています(旧所令145②)。

《算式》

その年12月 31日におけ る一括評価 貸金の額

×

平成10年及び平成11年の各年の 12月31日における実質的に債権 とみられない金額の合計額 平成10年及び平成11年の各年の 12月31日における一括評価貸金 の額の合計額

(18)

2  改正の内容

 上記1⑵の簡便法を適用する場合の基準年が平 成27年及び平成28年とされました。これに伴い、 簡便法を適用できる居住者は、平成27年 1 月 1 日 以後引き続き事業所得を生ずべき事業を営んでい る者とされました(所令145②)。

(注) 上記の改正にあわせて、その者が年の中途 において死亡した場合には、その死亡の時に おける一括評価貸金の額を基礎として簡便法 による計算を行うことが明確化されました。

3  適用関係

 上記2の改正は、平成27年分以後の所得税につ いて適用し、平成26年分以前の所得税については 従前どおりとされています(改正所令附則 7 ①)。  なお、その者が平成27年 4 月 1 日前に死亡した 場合におけるその者の平成27年分の所得税につい ては、改正前と同様に、簡便法を用いる場合の基 準年は平成10年及び平成11年とされています(改 正所令附則 7 ②)。したがって、平成27年 4 月 1 日前に死亡した者を除き、平成27年分及び平成28 年分の所得税については、実質的に債権とみられ ない金額の実績値を計算する必要があります。

 簡便法は、一度実績を計算すればしばらくの間 はその実績を用いることができることとして事務 負担の軽減を図る措置であり、今回の改正で基準 年が平成27年及び平成28年とされたことから、新 たな基準年である平成27年及び平成28年について は、将来簡便法を適用するか否かにかかわらず実 績値を計算する必要があります。これを踏まえれ ば、平成27年及び平成28年において改正前の基準 年を用いることとする等の経過措置を設けて平成 27年及び平成28年の実績値を計算しなくともよい こととする必要性は見出せないことから、このよ うな適用関係とされているものです。

 また、その者が平成28年 1 月 1 日から同年12月 31日までの間に死亡した場合におけるその者の平 成28年分の所得税については、その者の平成28年 12月31日における一括評価貸金の額が原則的に存 在しないことから、その死亡の時における一括評 価貸金の額に、平成27年12月31日及びその死亡の 時における一括評価貸金の額の合計額のうちに同 日及びその死亡の時における実質的に債権とみら れない金額の合計額の占める割合を乗じて簡便法 による計算を行うこととされています(改正所令 附則 7 ③)。

五 資産に係る控除対象外消費税額等の必要経費算入制度の改正

1  改正前の制度の概要

⑴ 事業所得等の金額の計算において税抜経理方 式を採用している場合の課税仕入れに係る消費 税額等(消費税額及び地方消費税額をいいます。 以下同じです。)については、その課税期間の 課税売上高が 5 億円以下かつ課税売上割合が95 %以上であるときには、課税仕入れに係る消費 税額等の全額を課税売上げに係る消費税額等か ら控除することとされています(消法30①)。 一方、課税売上高が 5 億円超又は課税売上割合 が95%未満であるときは、課税仕入れに係る消 費税額等を課税売上割合に応じて按分して課税

売上げに係る消費税額等から控除することとさ れています(消法30②)ので、仕入税額控除の できない金額(消費税額及び地方消費税額に相 当する金額(注)の合計額をいいます(所令 182の 2 ⑤)。以下「控除対象外消費税額等」と いいます。)が仮払消費税等勘定として残るこ ととなり、別途必要経費に算入する必要があり ます。

(注) 地方消費税額に相当する金額とは、その税 率が100分の1.7(平成27年10月 1 日以後は100 分の2.2)の消費税であると仮定して計算した 金額をいいます(旧所令182の 2 ⑥)。

(19)

の取引の取引価額等に配賦したうえ通常の減価 償却等の方法により費用化する方式と、これを 別途まとめて費用化する方式とが考えられます が、このうち後者の別途まとめて費用化する方 式における資産に係る控除対象外消費税額等の 必要経費算入については、次のように、その控 除対象外消費税額等の生じた年及びその翌年以 降の各年に必要経費に算入することができるこ ととされています(旧所令182の 2 ①~④)。 ① 資産に係る控除対象外消費税額等が生じた

イ その年の課税売上割合に準ずる割合が80 %以上である場合には、その年について生 じた資産に係る控除対象外消費税額等の全 額を必要経費に算入します。

ロ 課税売上割合に準ずる割合が80%未満で ある年において生じた資産に係る控除対象 外消費税額等が、一の資産に係るものの金 額が20万円未満であるもの(棚卸資産に係 るものである場合を除きます。)又は棚卸 資産に係るものである場合には、これらの 資産に係る控除対象外消費税額等の全額を 必要経費に算入します。

ハ 上記イ及びロにより必要経費に算入され なかった金額(以下「繰延消費税額等」と いいます。)については、その金額を60で 除しこれにその年において業務を行ってい た期間の月数を乗じて計算した金額の 2 分 の 1 に相当する金額を必要経費に算入しま す。

② 資産に係る控除対象外消費税額等が生じた 年の翌年以後の各年

 繰延消費税額等の金額を60で除しこれにそ の年において業務を行っていた期間の月数を 乗じて計算した金額(その金額が、その繰延 消費税額等のうちに既に事業所得等の金額の 計算上必要経費に算入された金額以外の金額 を超える場合には、その金額)を必要経費に 算入します。

2  改正の内容

 控除対象外消費税額等が、課税仕入れのうち今 回の改正法における消費税法の改正により消費税 の課税の対象に新しく追加された特定仕入れに該 当するもの(以下「特定課税仕入れ」といいま す。)に係るものである場合には、上記1⑵①ロ の課税売上割合に準ずる割合が80%未満の年にお いても、その特定課税仕入れに係る控除対象外消 費税額等が生じた年においてその全額を必要経費 に算入することとされました(所令182の 2 ②二)。

(注) 消費税率の10%への引上げの施行日が平成27 年10月 1 日から平成29年 4 月 1 日に変更となっ たことに伴い、地方税法施行令の一部を改正す る政令(平成27年政令第161号)第 2 条による改 正において、上記1⑴(注)の地方消費税額に 相当する金額の計算において仮定する地方消費 税の税率を100分の1.7から100分の2.2に引き上げ る改正の施行日を平成27年10月 1 日から平成29 年 4 月 1 日へと変更する規定の整備が行われて います。

3  適用関係

 上記2の改正は、平成27年分以後の所得税につ いて適用し、平成26年分以前の所得税については、 従前どおりとされています(改正所令附則 9 ①)。  なお、事業者が平成27年10月 1 日以後に国内に おいて行った課税仕入れのうち国外事業者から受 けた電気通信利用役務の提供に係るものについて は、当分の間、仕入れに係る消費税額の控除の規 定(消法30①)は適用しない(改正法附則38①本 文)こととされていることから、課税期間中に行 った課税仕入れの全てが国外事業者から受けた電 気通信利用役務の提供である場合(つまり、仕入 れに係る消費税額の控除の規定の適用ができない 場合)であっても、本制度を適用することができ るようにするための所要の読替え規定が設けられ ています(改正所令附則 9 ②)。

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